自分の無知

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家庭を持つなんて、全く考えもしなかった僕。
当時の僕には、家についての知識なんて一ミリもありませんでした。

独身時代から住んでいたのは、父が残した土地と、その上に立つ築40年の2階建てボロアパート。
大好きなにゃんこ3匹との平穏な暮らししか頭になく、当時の優先順位は完全に「家 < 猫」でした……(キモいですよね笑)。

結婚後もしばらくは、このアパートの2階に夫婦と猫たちで生活していました。
しかし、老朽化による「床の踏み抜き未遂事故」が発生。
これをきっかけに、必然的に家の建て替えが決まったのです。

この頃の僕の一戸建てに対する認識といえば、だいぶ昔に友達から聞いた「40坪で2000万円くらい」という大雑把な知識のみ・・・。

当時の僕は、Pinterestを見ることが『家づくりの勉強』だと思っていました。

無知なままの僕が描いた理想は、最低でも「延べ床40坪で、LDK20畳を切らない」
理由は単純。Pinterest信仰です(笑)

「今はこんなのが外観が流行ってるのか!」
「なんだこの洗練されたキッチンは!」
「こんなリビングなら、ソファで一生過ごせるわ!」

完全に昇天状態(笑)のまま住宅展示場を回った僕の瞳は、とにかく「より斬新!よりオシャレ!」なものを追いかけていたように思います。

こうして夫婦で展示場を回った結果、最終的に2社の工務店が候補に残りました。

  • A社: 吹き抜けのある開放的なリビングに、おしゃれなキッチン。階段で上がれるロフトなど夢が満載!営業さんも一つ一つ説明してくれて、話しやすく、すぐに打ち解けました。
  • B社: シンプルで真っ白な外壁と、それを引き立てる杉板の色使いが目を引くデザイン。内装も落ち着いた雰囲気で、コンパクトながらLDKの配置がとても機能的。営業さんは物静かで、僕たちの見学を静かに見守ってくれるタイプでした。

夫婦の意見は、最初見事に割れました。
僕は広々リビングのA社。妻は外観が好みだったB社でした。


家への思い

猫優先の僕でも、ひとつだけ「絶対に譲れない想い」がありました。

それは、結婚前に大阪に住んでいた妻に対する気持ちです。
慣れない地方都市へと移り住んでくれた妻に対して、どこかでずっと「申し訳ないな」という気持ちがありました。

だからこそ、絶対に妻が喜ぶ家にしたい。

それだけは、何があっても曲げたくない譲れないラインでした。


工務店選考

家づくりの情報を集め始めてすぐ、新築の注文戸建てはすでに「3000万円が当たり前」という現実にぶち当たりました。
自分の認識の甘さが一気に露呈した瞬間です。

「まあこれくらいなら大丈夫だろう」と予算を3000万円に変更し、選考を進めました。(まだまだ知識不足全開で笑。)

【A社の場合】
予算3000万円と40坪の希望を伝えると、「それでいけます!ぜひやらせてください!」と即答。
その後も僕の意見に対して「その提案、いいですね!」と背中を押してくれ、一緒に家を作っている感覚がとても心地よかったのを覚えています。

【B社の場合】
一方のB社は、見積もりと設計の段階から費用が発生し、その設計案が完成するまでに1ヶ月かかりました。
お金を払った上に連絡もなく、待たされた感がありました。結局提示された提案は『31坪・16畳』というコンパクトなもの。やはり当時の僕には『小さい家』としか感じませんでした。
そしてこちらは「全て込み込みで3300万円ですが、出せますか?大丈夫ですか?」という投げかけでした。

金額が上がろうが、提案が遅かろうが、僕は「妻の意見を最優先する」と決めていました。
だから、最初からB社推しだった妻が選ぶ工務店は、間違いなくB社だろうなと想像していたのですが……

意外にも、妻が選んだのは「A社」でした。

その決め手は、本当にささいな理由だったのです。

……『タバコ』でした。

妻は昔から父親の影響で、タバコの匂いがこの世で一番レベルで大嫌いだったのです。
たまたま、B社の営業さんがスモーカーでした。最終的な決め手は、なんとそれだけだったのです。

人の価値観

意外というか、「そんなことで決めていいのか!?」と僕も動揺しました。
でも同時に、「人ってこういう理由で動くものなんだ」と大きな学びを得た瞬間でもありました。今思えばそれくらい人の価値観は繊細なんですよね。

しかし、あの時の僕は、まだ本当の意味で分かっていなかったのです。
工務店の良し悪しというものを。

あの時の僕は、ただ家づくりを選んだつもりでした。
でも本当は、人生の大きな分岐点を選んでいたのかもしれません。

本当の家づくりは、ここからでした。

家の基礎が完成した頃。僕はようやく、家づくりの勉強を本格的に始めることになります。

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